夏の亡霊/ホロウ・シカエルボク
を追いながら約束された自由の儚さについて考える、信号が青になるまでの間だけ―きみはいつでも特別な用事があるみたいに歩く、空をつんざくビルのなかでスケジュールを調整している秘書のような足取りだ、約束された自由、と限定された思考がリフレインする、人間を縛り付けるのはいつでもそいつ自身に違いない、時々強い風が吹いて、それが止むたびに温度が少し高くなる、おれはイラつき過ぎて穏やかにそいつを抱え込むくせがついた、きみは歩きながらおれがなにか声を発するのを待っている、でも今日のおれはそんな声なき期待に乗るような気分じゃない、昨夜は渇き過ぎた…窓の外では叩きつけるような雨があんなに降り続いていたというのに!はっ
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