夢を見なよ、この夜はまだ明けることはない/ホロウ・シカエルボク
 
るのを見なかったか?」友達が質問を続けた
ああ、と俺は答えた「見たよ、呼び止められていろいろ聞かれた」「俺もだ」
「何度も何度も刺されたらしいよ」友達はそう言いながら顔をしかめた
「通り魔なのかね」「きっとそうだろうね」
それから俺たちはまた黙って歩いた、路地を出たところで俺は少し立ち止まった、どうしたんだ、と友達が聞いた
「このあとどうするのか決まっていないんだ」俺がそういうと友達は鼻で笑った
「相変わらずだな」俺は苦笑して肯定した「俺はなんだか急に疲れが出た」と友達が言った
「このまま家に帰って、シャワーを浴びて眠ることにするよ」
それがいい、と俺は言った
「俺につきあってた
[次のページ]
戻る   Point(1)