夢を見なよ、この夜はまだ明けることはない/ホロウ・シカエルボク
てたら何時になるか判らないからな」俺がそう言うと友達は快活に笑った
それでそのまま路地の出口で俺たちは別れた
本当に疲れているのか友達は凄く急いだ感じで駅の方に走って行った
「ゆっくり休むといい」見送りながら俺はそんなことを呟いた
夜の街に溢れる連中はどこか、嘘ごとを何とかして信じ続けようとしているみたいに見える
自動販売機で炭酸飲料を買って、時間をかけて飲み干した、すれ違うやつらの目は、夜の闇に半分隠れて
どんなものを見つめているのか釈然としなかった
このまま街の外れの川まで行って、しばらくのんびりしようと思った
たとえば明かりが少なくても、もしこの空が月も星もないようなときでも
どういうわけか川の流れははっきりと感じることが出来る
河原の一角にある、寂れた公園の軋むブランコに腰を下ろして
友達のギラついた目を思い出していた
柔らかな風が吹く
寝床に戻るまでにはもうしばらくかかるだろう
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