夢を見なよ、この夜はまだ明けることはない/ホロウ・シカエルボク
言った
それから少しの間俺たちは並んで暗闇を歩いた
「向こうに用事があるんじゃなかったのか?」俺がそう尋ねると
友達はぷっと吹き出してこう答えた
「用事なんか抱えてたらこんなところ通らないよ」
簡潔に表通りを歩くよ、と友達は付け足した、俺はそのフレーズが凄く気に入った
「簡潔に、ね」「簡潔にさ」
それからまた少しの間二人とも黙って歩いていた、俺たちは昔からそういう感じだった
「なんでまたこんなところを歩いていたんだ?」今度は友達が俺に聞いた
散歩をしていて、と俺は答えた「コーヒーが飲みたくなって…そのあとは気まぐれさ」
「そうか」と友達は答えた
「警察がたくさんうろついてるの
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