夢を見なよ、この夜はまだ明けることはない/ホロウ・シカエルボク
死蝋化した骸を思わせる粘ついた月と鋲のような星々が食い込んだタールみたいな黒が
呪詛のようなリズムで這いずるやつらの頭上にぶら下がってる
駅前のコーヒーハウスで飲み干した自家焙煎にはまるで無関心で
新しい靴のつま先の汚れを気にしてばかりいる
ほんの数時間前ドラッグストアの前で刺殺事件があったって
被害者は「会ったこともない若い男だった」って何度か繰り返してこと切れたって
砂金を掘ってるような目をした警官が俺を呼び止めてそんなことを話したんだ
「今日はずっとこの辺りにおられたのですか?」って聞くもんだから
「まあね、ちょっとね」と答えていくつかの質問に答えた
結果的に俺は被害者
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