デリシャス・メニュー/ホロウ・シカエルボク
 

低予算の恐怖映画のように絶えず揺らいでいる窓の外では
いたたまれない仕上がりの人間たちが殺し合いを繰り返す
やつらはさらに形がおかしくなって
しまいには腐肉が愚図る音が
どこから聞こえているのか判らなくなる
眠りから覚める頃には
あらゆる臓器が絞られたように拗けているのだ
台所で飲み干す水は人工物の味がする
さて、もしも俺が災いだと言うのなら
或いはお前がそうだと言うのなら
俺たちはいっそステンドグラスの前で
向き合って互いの目を抉り出そう
上手くそう出来たら千切れた視神経の末端を結んで
ふたつの目玉がぶよんぶよんとぶつかる音で永劫の時を刻もう
ぽっかりと空いた眼窩
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