【批評ギルド】 『I氏の走り書き』坂田犬一/大村 浩一
#本気で書いている。
#試しに目を閉じてみたら、とんでもない気分になる。
#世界から逃げ出せるなら、それでいい。
#先日、友人が、余裕があったら俺も消して、と言っていたのが不意に浮かぶ。
#消してあげられたら良かった。
#僕も消してもらえば良かった。
(『I氏の走り書き』第2連)
「首を締め付けてくるのだ」の「のだ」など、ぽろっと書いてしまった感じ
がする。こうした語尾に込める様な感情の過剰さは、普段は詩としてはそぎ
落として然るべき部分だろう。脅迫観念による、話者の心理的な余裕の無さ
の表現と言われればそうかも知れないが。「本気で書いている」に至っては、
それ書いた
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