月の町 お題、即興ゴルゴンダ(仮)より/田中修子
 
失い、この世のあらゆる傷を手紙で知りながら、生きているのだから。

《妖精さんがぼくのものを受け入れてくれない》《あたしのこと結局は男だと思っているんだわね》《病気の女の人はけっきょく自分がいちばんなんだな》

そんなぼやきを聞くと、たちまち彼女たちの心は、窓をつたう雨粒がほかの雨粒を飲みこんで大きくなるようにまとまった。それぞれにこだわりがはげしく、ときに仲たがいをすることも多い彼女たちだが、こういったときだけは自分が他の少女で、他の少女が自分なのだった。

《性欲異常者》《オカマのオッサン》《そういうあなたも病気よ》

扇で口元を隠しながら、気の毒そうにくすくすと笑う。笑い声は
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