月の町 お題、即興ゴルゴンダ(仮)より/田中修子
 
もいられない》

その男たちもまたじっさいのところ、精神の奥底の部分に奇形を抱いているのだが、

《もしかするとやっとわたしたちを理解してくれる男があらわれたかもしれないわ》

と、はじめ熱狂的に彼女たちに受け入れられる。

だが、長く彼女たちといられた男はいなかった。まず、食事ともいえぬ食事に閉口し、微笑みをたやさぬ口元に隠されている彼女たちのにえたぎるようななまなましい感情に落胆した。
じっさいのところ彼女たちはみな、みためより、そして心の奥底の弱い男よりも、たくましかった。怒ることも、笑うことも、月あかりをかき消すような激しさだった。なにしろ月の町にながくとらわれ、友を失い
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