雪原の記憶/山人
自然が豊かで製炭や薪燃料として木が適度に伐採され、キノコや木の実が豊富に実り、豊かに物質循環が行われていた時代である。
すなわち、山に住む獣にとっても豊かな食料を手にしていたのである。
山では多くのウサギが獲れ、子供の頃の記憶では週に一度はウサギ汁を食べていた。
最近では、銃規制も厳しく、銃所持者の高齢化にも拍車がかかり、狩猟を行う人は激減していた。
当地区の猟人も最低年齢が既に四十を越えていた。しかしながらマタギや狩猟の伝統を守ろうとする少ない人達によって、今でも猟は続けられている。
深夜、雪がほどよく降り、朝から晴れ上がった日はウサギ猟に適している。
夜、雪が降らない時は、
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