雪原の記憶/山人
は、極めてウサギの活動痕が多くなる。つまり足跡が多過ぎて居場所の特定が難しくなる。
深夜、適度に雪が降れば、余計な活動痕は失せ、寝屋に近い部分の足跡が残る。
寝屋に入る前にウサギは独特のカムフラージュ痕を残す。寝屋の手前から徐々に足跡のリズムが少し乱れ、とぼとぼしたような足跡を残す場合が多い。悩み痕だ。
適当なシェルターが決まると、シェルターの前を通り過ぎ、一定の距離で停止し、回れ右をしシェルターに入り込む。ウサギの足跡が忽然と消え入る箇所があるのだが、こういう場合は得てして近隣に潜んでいる場合が多い。ただ、場合によってはこういうカムフラージュ痕を幾度も繰り返している場合もあり、百戦錬磨の狡
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