ガラパゴスの雨/ただのみきや
 
って
沸々としながらなにも生み出せない
――定義が
石の獣が口を開く
おまえの中でレコードが回り出す
同じノイズで舌を痺れさせ
不安の仔を寝かしつけると
おまえは鎧のサイズに自分を押し込めた
だけど白い指が胸を掠める時には
女のように愛撫される時には


傷口を塞がれたまま
鷹のように螺旋に墜ちて往けばよい
腐臭をたなびかせ内へ内へと
突き破る奈落の向こう
宙ではたぶん月
亀裂に覆われながら
死の胎から睥睨する
退行の果てに分裂を繰り返し
幾つにも像がぶれて重なった
老いた卵
生命の内壁に穿たれた黒い穴


伏せた盃を元に戻す
時代の上澄みを啜っ
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