ガラパゴスの雨/ただのみきや
 
啜って
顔をしかめたのか
もう そういう顔なのか
学生たちの傘が斜めに行進する
幼さを色とりどりにラッピングして
目はその後を追いかける
わたしの幽霊は若さを憎んだ
仇のように継母のように乱れ愛しながら


ガラパゴスの時間は止まっていない
充分なほど
変わらない己を旅していた
歴史よりも永く太陽系より広く
鈍重な歩みで死に往く生を体現しながら
空と海の間 
色とりどりの傘が咲き乱れ
飛ばされて往く――時の疾風よ
狂った秒針の苛立ちの中
    水晶のような安らぎ
        よだれたらして




              《ガラパゴスの雨:2017年4月19日》










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