ガラパゴスの雨/ただのみきや
 
りにされる脆弱な裸


枯葉の舟で渡って往く
過去からも未来からも亀裂が入り
育ち過ぎた疑念は揺籃からはみ出して
あたまごともげ落ちて海へ沈んだ
火山のように裂けて
「かつて」は逃げた島のように自我の外洋へ
新たな名づけを求めて喘ぐ
曖昧から曖昧へ
移動する朧な霊よ
雲間の冷たい上弦をなぞる
早すぎた蛾の孤独なふるえ


結ぼれたものを解くように
振舞うことに酔い痴れながら
なにも解かずに
煙の歩みを少しだけ
ただで拾った小壜に押し込める
その名付けの心地よさに
  溺れて
    惚けて
      貧しさ忘れ


金色のあたまひとつ転がって
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