どこに居るの、沙織。/ホロウ・シカエルボク
的に会うような友達も居なかった。心当たりはあっという間に当たり尽くした。あの日近くの駅で待ち合わせて、このモールで一日中遊び尽くそうと約束していたのだ。時間軸が現実に引き戻されると眩暈がした。どうしてなんだ、と陽平は思った。それは本人にしてみればそう思っただけのことだったが、彼の思いは口をついて出ていた。隣に座っていた二十代半ばのカップルが、彼の方を見て怪訝な顔をした。陽平自身はそんなことにまるで気づいていなかった。どこに居るんだろう、そう思いながら彼は飲物に口をつけた。それは確かに彼の体内に運ばれていったが、彼にはそのことすらもよく理解出来てはいなかった。
死んでいるからなのだろうか
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