どこに居るの、沙織。/ホロウ・シカエルボク
 
かが自分の姿があるうちに迎えに来てくれるだろうか、それとも、腐敗して骨になって、崩れ落ちるまでこのままなのだろうか。肉体が滅びたら、自分はここを離れて自由に動けるだろうか。それとも、この身体が尽きる時が、この心も尽きる時なのだろうか、と。少女の魂は例えて言うなら、虫かごのなかの虫のようなもので、肉体という仕切りから外へ出ることは出来ないが、そのなかでなら自由に動くことが出来た。だから考え事に飽きると、窓の外の空を眺めたり、水の流れる音に耳を澄ましたりした。そう、水が絶えず流れているせいで、彼女は自分がどこか川の近くに居るのだということは理解していた。車の音や人の声がまるで聞こえてこないので、余程に
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