どこに居るの、沙織。/ホロウ・シカエルボク
った。
まだ開店したばかりのだだっ広いショッピングモールには、おざなりな挨拶をするために整列している店員以外にはあまり人の姿はなかった。その店員たちは、ひとりの少年の姿にとても興味を示しながら、平静を装って頭を下げていた。下げている者のなかには、微かに笑みを浮かべている者も居た。マニュアルに書いてある接客用の微笑みとは、似ても似つかない笑みということだ。少年の姿はちょっと見普通だったが、ただその表情があまりにもそういう施設には似合わない様子で、それが人の目を引いたのだ。それはしいて言うならば、長い時間をかけてずっと精神を殴られ続けてきたものが浮かべるようなそんな表情だった、年齢は十七と
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