へび坂/田中修子
 
。ふたりはへび坂を、みどりの産道の中を、詣でるように、ゆっくりと抜けて行った。
へび坂の終わり、胸の奥から酸っぱいものがこみあげてきた。
「しんどいんか?」
「しんど」
「ちょっと待ちんさい、もうすこしいったところにお便所があるから」

ふっと記憶が途切れて、私は黄色い滑り台の階段のところに白いすっぱいものを戻してしまっていた。祖母の手が、背をなでてくれている。

へび坂のそばには、らいおん公園があった。第四公園、の「だいよん」が「らいおん」にもじられたのだろうけど、私は大きくなるまで、いつも白いライオンがそこらのしげみにひそんでいると思っていた。
そのらいおん公園にいけばいつも
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