見なれた顔 ★/atsuchan69
った母と姿の消えかけている子供らが見慣れた顔の傍らで寝そべっている
部屋中を靄のような悲しみが漂い、それでも見慣れた顔はただごろりと転がっていた
月明りの晩。
まるで大地が沈むかと思うほどの地響きにも似た激しい鼾が茅屋から聴こえる
鼾の音で揺れる古畳のうえを一匹の猫がやって来てしばらく光る眼をじっとさせた
眼の前にあるのは破れた障子からもれた淡い月影に染まる落武者ヘアーの見慣れた顔だ
無精髭の見慣れた顔は、突きだした唇をぶるぶる震わせて鼾の音ともに涎を飛ばした
その一滴が猫の額にとんだ瞬間、猫はニャアーと鳴いてとっさに退いたものの
あいかわらず鼾は怖ろしい地響きをたてて古畳
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