/紅月
醒めない酩酊のように平たく引きのばされていく。
ひたすらながく、介入する余地のない完全な冬に、わたしたちはすこしずつつづけるべき
話題を不足させていった。ひとこと、ふたこと、そして、すぐさま凍えと、つよい飢えが
なだれて、おしだまり、ただ窓の外をながめる、いつしかわたしたちはそれだけを繰りか
えすようになった。沈黙に耐えかねて、鸚哥になにかを話そう、話さなければ、と、くち
をひらくたびに、からだの、服から露出した部分はみにくく爛れ、あまりの痒みにおもわ
ず掻きむしる、わたしのあおじろい肌を、たくさんの創傷が走って、鸚哥のまるい瞳が
淡々とそれを読みあげていく。やがて鸚哥も、わ
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