/紅月
 
ようになったころには、わたしたちの
会話は鸚哥のつややかな羽根のようにあざやかに、そして清冽なみずみずしさを湛えるよ
うになっていた。


やがて、ながい冬がおとずれ、窓に映える山々は枯葉色のなかにしだいに白の割合を増し
ていった。分厚い石の壁をつらぬいて、硬質な凍えがわたしたちのからだを蝕む。わたし
たちはお互いに身を寄せ合いながら、ひたすら会話をつづけることできびしい寒さを誤魔
化した。尽きることのない渇きが饒舌な韻律を飲み干していく。さながら交合のようだね
とわたしが鸚哥をからかうと、接ぎ木だよ、と鸚哥はこたえた。外はやがて遠吠えのよう
な音とともに吹雪きはじめ、冬は醒め
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