春と詩はよく似た病と嘯いて/ただのみきや
 
があって
乾いた木切れのように
ポキリと折れた腕がぶら下がったまま
朝の光に揺れている
着替えることもなく化粧もしないまま春は
屍を抱いてやって来た
春は喪の祭り
死と再生のクッキーが振舞われる大人にも子供にも
芽吹きは呪術めいた囁きで
コンパスを狂わせる華やかな笑顔の中心からすが入り
過去からの歌声が頭の中で卵を孵す
いったいなにと契ったのか
埃っぽい空を漂うコンビニ袋
包むものも沈めるものもなく
自由な空の海月はまるでありふれた光景の
哀しい異常者よ
微塵の価値を再び得られずに
風のうまれる場所があって
きっと種のように硬い骨が雪解けの黒土からぬっくりと

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