曲り下る路のむこう/ただのみきや
 
敷いた広い場所が現れた――煙が上がっている――人がいる
頭大の石を積み上げた小山の前 女がひとり
髪を後ろで束ねているが長くはないのでうなじが見えている青白く
薄闇の中の白百合のようにぼんやり光を放っていた
紺のセーターかカーデガン 長い焦げ茶のスカート
石の祭壇のようなその場所でなにかを焚き上げているのか
供物を捧げているのか 奇妙さに目を奪われて
通り過ぎ際に花輪と 人形のようなものが微かに――
見えたような 気もしたが 逢魔が時で定かではなく

女がふり返ることを少しだけ期待した とても美しい女が
だがふり返る前に通り過ぎなければならないのだ
絶対にふり返る前に――そ
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