淡水系/ただのみきや
 
流れていった
残されたのは一匹の鯰
髭を掴んでどぶ川に放ってやる
正当性をあしらった継ぎはぎのペルソナに是非はないが
自己実現のための免罪符は砕けても黒曜石並みに鋭かった

嫌な詩会になってきた
淡水系の集まりにやって来たものの
比喩のぬかるみに思考を掬われ糸がほつれて往く
次に裸にされるのは
やはり おれか
逃れることはできない同類なのだ
この戯言のモザイクを外されたら一体なにが現れるのか
どじょうは嫌だなんとなく
スッポンも嫌だスケベな感じがして
ザリガニはダメだ頭が悪そうだし
毬藻げんごろうヒキガエルどれも気に入らない
だけど見出だすのはおれじゃない誰かだ
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