淡水系/ただのみきや
べていたかった
鯉にロマンチックな想いは持っていない
ただのセンチメンタルだ
卑下の専門家は執拗に包丁を入れたがる
一冊の本をばらして単語の数や接続詞の数を調べるように
そうして自家製ソースをかけまくり
なんでも手前勝手な味付けにしてしまう
おれは舟盛りにされた鯉の活造りを想像した
そしてすぐ舟盛りにされた女の活造りも
ぱくぱくと喘ぎながら抗議すらできない無表情の悲しみが
顔を隠して宴席に連なる自称食通どもの箸で慰みものにされる
どうにも気に入らなかった
だからつまらない専門家のベルトを引き抜いて
ズボンを下ろしてやった
すると男もバラバラになり
すべて水になって流れ
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