あの娘の胸に赤いバラ/ホロウ・シカエルボク
んなご立派なもんじゃないってさ
周辺機器が呆れるくらい便利に設えられただけで
俺たちは相変わらず本能を持て余す獣のなれの果てなんじゃないかってね
バスルームを掃除しなくちゃ、なぁ
人間と獣の血のにおいは
少しだけ違うように感じるね
閉まりかけたマーケットに飛び込んで、濃厚なチーズとワインを買ってきたのは
きっといつまでも生温い後味が消えないせいだ
現実を凌駕して余りある白昼夢のように
べっとりとこびりついている後味がそんなものを求めさせたんだ
底なしの沼に沈んでいくような酔いの中で
おかしな時間にウェザー・ニュースを見ていた気がする
だけどそれが当たったのか
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