真夜中を話そうとするとき血液のせいで濁音が混じる/ホロウ・シカエルボク
ず果てしなく天井のボードに近づき、それから下を向く、その目が見た景色は、たったひとりで伸びあがって床に後頭部を打ち付けている俺自身の姿だ、黒くぽっかりと空いた眼窩が厄介なものがなくなった喜びに満ちているように思えて思わず身震いがする、そんなものが喜びであるはずがない、なんて、どうして言い放つことが出来るだろう…?俺が確かにそうと言い切れるのはそんなことばかりさ、つまり、「必ずしもそうとは言い切れない」っていうことだけが真実だってこと―目玉は上手く落下することが出来ず、部屋の端の方に転がる、俺はモニターでアームを動かすエンジニアのように自分の腕を、指を操り、ぽっかりと空いた眼窩に目の玉を押し戻す、痺
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