真夜中を話そうとするとき血液のせいで濁音が混じる/ホロウ・シカエルボク
、痺れるような痛みが涙をとめどなく流させる…そいつが落ち着くまではどんなことも考えることが出来ない、再び視界が落ち着いたとき、なにごとも無かったような部屋の中で天井を見つめている、それまでの景色との共通項は、「夜である」ということぐらいで、俺は感覚を誰かに奪われたような気分で横たわっている、自分の寝息は臨終の床の父親を思い出させる、それはあながち間違いじゃない、必ずしもそうとは言い切れない…俺はきっと、そんな言い回しが気に入っているだけなのさ―あとは眠るだけだし、そこにどんな夢があろうとそれは構わない、あとどれくらいまどろんだ思考が続けばそこに行けるだろう―ときどきそんなことを考えるけれど、べつに明確な答えを求めているわけでもない。
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