真夜中を話そうとするとき血液のせいで濁音が混じる/ホロウ・シカエルボク
て、俺の命を奪うかもしれない、感覚として説明してみるならそういうことだ―ドリブルの軌道の中で、俺の脳髄はどこか山深い森の中にある、湖の湖面の夢を見ている、そこからだけ見える空が、切り取られて湖面にある、不思議なほど静かな…虫の声も、鳥の声も、獣の声もまるで聞こえることはなく、薄っぺらい布が撫でるかのような風だけがどこかから吹いている…それはどんなものも動かせはしない、ただそこにあると気づくだけの、そんな風だけが絶えず吹き続けている、俺はその景色に見覚えがある、だけどそんな場所には行ったことがない、それをよく見ようとして、俺はつい目を開けてしまう―俺の眼球は衝撃に負けて激しく飛び上がる、それはまず果
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