真夜中を話そうとするとき血液のせいで濁音が混じる/ホロウ・シカエルボク
 
い…誰だ、さっきから俺の頭部をドリブルしてやがるのは?後頭部がフローリングを殴りつけている、世にもおぞましい音が頭蓋骨で反響している、目を開けてちゃいけない、目ん玉が飛び出るぜ…俺は軽く瞼を下げて、衝撃をそこで押さえつけようとする―そんなことはべつに珍しくない、朝となく夜となく、なにかが襲い掛かって来る…そいつは俺を殺そうとしているのか?それはもしかしたらそうなのかもしれない、だが、もしかしたらほんの少し、加減の仕方が間違っているのかもしれない、そんな気がときおりしてしまうのは、それがあまりにも渇いているからだ…浮浪者の目つきのように、渇いて色褪せているからだ…だけどそれはある種の間違いによって、
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