美しいひと/日時計/ただのみきや
 
べるだろうか
彼女は自分と過去を真っすぐに見つめ
この世界で人々と関わり合って生きている


あまりにも多くの要素を含んでいるようで
実際には何事に置き換えてみても空虚になってしまい
ひと時の感情や
指数のようなものでしか表現できない
「幸福」という言葉を
空っぽの熨斗袋の飾りを弄ぶように
冷たい冬の歩道を
歩いていた
なにも見ないで
ただ歩いて
機械へと変貌して
私の牢獄
大通りにある広い公園の真中へ
もう長い間そこに立って身動きもせず
日時計の柱として
人々の満ち引きと交差しながら触れ合うこともなく
己の影を見つめ続けて来た
《もっと若い美人が幾らで
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