美しいひと/日時計/ただのみきや
 
した
外の世界を
孤独の中でただ
怒りや憎しみや妬みの腐った葡萄を
絞り出しては熟成させている
この心の牢獄から解き放たれて
広い大地
風が 遠く 
どこまでも続く草原を
奏でるように揺らしいる
異なる色彩が天と地で 
光に溶けて混ざり合う
あたらしい心の地平を
心と心は
貸しも借りも
負い目もなく
傷つけ合うこともなく
求めて
与えて
互いの中に欠けを見ず
自ら満ち満ちて
たとえこの世界ではおとぎ話でも
この心に穿たれた穴の向こう
射し込む光の先にある
新天地を


あの日以来わたしはその光に夢中になって
牢獄の外に耳を傾けているのです

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