美しいひと/日時計/ただのみきや
へ
その姿だけをそっと植え 大切に
暗黙に誓う秘密のように守り続けたくなる
美しいひとよ
あなたの中には 何一つ
醜さも汚れもないのですか
ありますとも
たくさん たくさん 溢れていますよ
わたしの心はそんな汚物でいっぱいの暗い牢獄
思い出せる限りずっと ここに暮らしているのです
これからも きっといつまでも
死ぬまで変わりはしないでしょう
いつの頃からか 穿たれた穴から光が射し込んで
わたしの前には私の影がまるで双子の姉妹のように
わたしを見上げていました
わたしは影に話しかけました 独り言のつもりで
影はオウム返しに答えてくれました
と
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