アンダーグラウンドの指先/ホロウ・シカエルボク
画用紙のようなものだ、つまりそこにある事実は、「もう一度書かなければならない」という細やかな強迫観念に過ぎない…そんなものをあれこれと掘り下げることなど、無駄なのだ、そこに確信などないことが判っているからこそ、人は落ちている本を拾い上げてページをめくるのだ…考えに耽っている間に日は沈もうとしていた、もう目の前に漂っている埃など見えなかった、薄暗がりになった内壁が、窓の外の何かを反射して奇妙な模様を描き出しているだけだった、日が暮れることは夜が明けることだ、ペーパーバッグはもう読みつくしてしまった、それにはやはり同じことばかりが書いてあった、人はテーマなど持ち合わせてはいない、虚ろな空間に放り出され
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