アンダーグラウンドの指先/ホロウ・シカエルボク
 
されて、果てしない空白を埋めようと発しているだけだ、夜が訪れた!俺はアンテナとなり、闇の中で信号を受信する、俺の信号経路を駆け巡るそいつらは、俺がどんな形をしているのかを教えてくれる、蹲ったままでしばらく眠り込んでいた、路面電車の振動が俺を目覚めさせ、俺は歯を磨いて明日からの準備をする、演じる覚悟を固めた道化にはなれないし、といって疎かにしようとも思わない、なにを知っていたのか、なにを見てきたのか、記憶の中を引っ掻き回してみてもいくつかのピースが見つかっただけだった、俺はそれをゴミ箱に捨てた、もうそれは俺のものではない、音楽は流れ続けている、俺は夜の始まりを見ていながら、だけどそこに詩情などを求めたりはしない、それだけは、ペーパーバッグのように床に転がっていたりはしないのだ…。


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