アンダーグラウンドの指先/ホロウ・シカエルボク
らわれていたが、それで身体が古くなったセメントみたいにボロボロと崩れ落ちようと別にかまいはしなかった、二月は空洞であり、この日は空洞であり、この午後もまた空洞であり、俺はそこに置きざられた異物だった、それは俺のもっとも正しい在り方のひとつに違いなかった、だからそうして窓と床の間に潜り込んで―じっとしていた、音楽のことはほとんど気にしてはいなかった、必要なものではない、必要なものではないからこそ選んでしまうのだ、人生や運命が、無条件に意味を約束されたものであるかのように言い始めたのはいったい誰だ?そんな命題を妄信してしまうことは、首吊りの縄に自ら首を差し入れることと大差ないことだ、時間や、行動や、思
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)