私の中に住む女/宣井龍人
 
が入り混じった声で女をにらめつけた。
眠る前と何一つ……、何一つ変わっていない、目の前に見知らぬ女がいる以外は。

「そんなことない。」
私の心を読んだかのように、女は平然と言い放った。
そして、ソファーから立ち上がると、私のスーツなどがあるクローゼットを開いた。

「そんなばかな……。」
私は信じ難い光景に、またもや長年連れ添った自分の目を疑った。
クローゼットの衣類が、すべて女物に入れ替わっているではないか。

「まだ、わからないの?」
「……。」
「私が貴方の中の女なら、貴方は私の中の男なの。」
「……。」
「今日だって、貴方の方から会いに来たのよ。」
女は哀
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