私の中に住む女/宣井龍人
 
は哀れむような眼差しで私を見詰めた。

私の言葉たちは足元から転げ落ちていった。
ただ、ただ、女の方を呆然と見つめ立ち尽くすしかなかった。
目が映し出す光景を必死に否定し、自問自答を繰り返したが、求める答えはどこにも見当たらなかった。
女からの刺すような視線を感じながら、私は徐々に意識が遠のいていった。

時間という生き物は、人知れず不規則な動きをするらしい。
小鳥の囀りに導かれて、この部屋にも爽やかな朝が訪れた。
部屋の主は、ベッドから立ち上がり、出窓のカーテンを開け、朝を迎え入れた。
艶やかな若い女は、爽やかな朝日を受けて、静かに微笑んでいる。

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