私の中に住む女/宣井龍人
うこともあってか、不思議に恐怖は感じなかった。
いや、若い女だからだけかはわからない。
見知らぬ女であるのに、そうではないような言葉では表現できない感触も覚えた。
「どこからも入って来ていない。」
「何を言っているんだ!」
私は感情で言えば怒りに近いものを感じた。
同時に、ここにきて、背筋に冷たいもの、恐怖に近いものを感じだした。
「おまえは誰だ?」
女は、ベッドの横から退き、ソファーに腰を下ろした。
そして、艶かしい足を組みながら、静かに、しかし、しっかりと言った。
「私は貴方の中に住んでいる。」
「ふざけるな!そんなことが信じられるか。」
私は怒りと恐怖が入
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