小川/ただのみきや
魚は幻のように素早い
おまえの中に
おまえに抗う意思がある
立ち向かい
押し流す圧力に身を任せず
尾ひれ胸びれ血を流し
いのちを激しく
震わせて
運命に
世の流れに
逆行し
望み見る場所へ踏みとどまるために
いのちを削って
意思を支える力へ変えながら
まだ青い
楓の落葉が
おまえのこころを流れて往く
ひとつの夢想のように
うたかたの生が
全てを受け入れて
静かに
おまえの胸の上
やわらかな勲章のよう
きらめきながら
己の力に頼ることをやめたとき
自然の法則と力に身と生を委ねたとき
世界はその目にどう映るのだろう
万物流転に溶け込んで往
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