夢夜、二 「春祭りの日に」/田中修子
生誕記念に国中に梅の木が植えられた。自国もたわわに平和であり、他国との付き合いも、争いのない豊かなものであった。
やがて国民たちは怠惰になった。この奇跡のような王政が続けば、必死に働く必要などないのだから。
王家の永遠の存続を、不死を求める声がひそやかに国をおおう。王家も、それにこたえようとした。
国をあげて、あらゆる秘薬がためされた。
その中で少しずつ、王家は狂っていった。あたりまえだ、薬と毒は紙一重で、毎日それを自分の体で試すのだ。民のための不死が、やがて民をさらい血を浴びるような外法となっていった。民も、そして他国も、王家を懸念するようになった。
秘薬に詳しい国から嫁とし
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