道端挽歌/北井戸 あや子
戻った日のことだ
その男の行いを
隣人愛、といやに整った身なりの字体で吐く書物は
何処迄もわたしに似ている
入水するように
衣服へ言葉を詰めている
そのせいで
まっすぐに
歩けない
眠ることによってしか
(わたしは天才であるわたしは天才で渡しは天災わたしは転載出あるわたし自身はわたしに天才は氏は)
今日は明日にならない
(返してくれ)
眠れないわたしは
(無理なら)
どうすればいい
(棄ててくれ)
無数の憐れみは常識とのさばった面をして
黒黒とあなたを犯すだろう
いつからか決まりきった様式となったそれを
いったい誰が許したのか
あるいは
誰
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