海辺にて/zitensha
らない
どんなに早く走ってもあなたの静かな骨に触れることはできない
どんなに遅く歩いてもあなたの大きな悲惨に触れることはできない
一本の国道がぼくらを遮断し横断する
一本の意味がぼくらを遮断し横断する
シニフィアンとシニフィエの間に
言葉が地表に着地する前に
意味が中空を漂っている間に
言葉と意味の間隙を抜って
我々が到達できるのは
あなたの静かな骨
海がなくなったからだ
一つの小さな海が
海がなくなってから我々はどこにも存在できない
一つの小さな海さえ我々に与えられはしない
海よ!綾羅木よ!
光れ!
光るんだ!
滲むんだ!
淀むんだ!
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