祝婚歌/葉leaf
――F.T.へ
君はとても複雑な静止画の連なりだった。複雑な君を愛する人は、きっともっと複雑な、例えば自然美の移ろいのような人なのだろう。君たちが複雑さを映し合うその鏡像の果てで、僕は僕の食い違った複雑さをこっそり花束に変えよう。この花束は美しくあろうとしないし芳しくあろうとしない、一つの石片だ。
答えのない問いに間違った答えを与え続けることで、僕らは人生と仲たがいをしてしまった。人生に癒合しながら人生との断裂を生きること、そこに僕らの文学は肢体を広げる場所を求めた。君の文学は新たに愛する人の人生との真っ白な未来を手に入れ、そこから生成される多声的
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