懐かしくない / ある女の子篇/末下りょう
 
ンバンショットアッハザッハリヒ

SNS的理性が戦術に落ちぶれたものなら
わたしはそんなものしか知らないのかもしれない
ものが見えてる人がまだわたしには見えない
ほんとの闇は空間じゃなく永遠の脅威だと思う
血の色を揺りおこして
わたしは誰かのために生きたい
馬鹿げた車が悲鳴もなく薄っぺらな崖から落ちる
スピードで風を切り裂くには軟らかすぎる肌をさらして
潮と使者たちを弔う

迷宮が直線からいちばん遠いものと信じることがすでに直線の側の思考なら
始まりを示したい
始まるまえがないならたぶん始まりもない
勝手に示すだけなにも懐かしくないのに
二方向に越えながら線が尽きる
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