創作童話詩/水菜
 
寄らなくなりました。

泡になるまでの感覚が日を追うごとに短くなっていきます。

それに比例してわたしは感情を取り戻していくかのようでした。

皮肉なことにわたしはそのせいで泡になることになったのでした。

ぱちんぱちんと少しずつ身体が消えていきます。

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目が覚めた時わたしはぼんやりと辺りを見渡しました。


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   『麦』

麦の穂の上で走っている夢を見たんだが
私は何故か人ではなく白兎になっていた
其処は普通の世界ではなくて
麦が植わっているのは熱い湯気が沸く温泉の上
其処に足を浸からせているのは昔見た姿
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