創作童話詩/水菜
 
色をしていた
赤い月が眩しい
鬼が私に
「嬢ちゃん、髪を梳かすことを手伝ってくれないか」

鬼の髪は、ごわごわしていそうだ
そんなことをしたくは無かったが鬼が怖かった私はこくんと頷いた
鬼は満足そうに私の手を掴む
ちりちりとした電気が鬼の手から流れ込んできた
そうっと鬼の髪に触れると触れたところから、いくつも子鬼たちが飛び出してくる

「おわぁ、おわぁ、おわぁ」
土砂降りの雨
赤い月が浮かぶ空に雨雲が掛かる
しだれた山茶花の花が鬼の虹色の身体によく映えています
濃い薄紅色の花びらがちらちらと辺りを染めて
鬼の髪を梳くと鬼が泣き出すのです
透明な泪は、ひっきりなし
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