はさみ/水菜
 
長し、つながっていて、一緒くたに瑠璃子に語り掛ける。
錆びついて切れない鋏も、力を入れれば切れることだってー

先程擦り剥いてしまった瑠璃子の薄い手の平をすべらかな地面のコンクリートにはわせた。
ひんやりとしていたそこは、瑠璃子の手の平の温みと同化する。
瑠璃子は、じっと押し黙っている。
祥太郎は、そんな瑠璃子の様子に顔を顰めると、そっと、気付かれないように嘆息した。
「……あのな、瑠璃子」じっと、目を合わせて、祥太郎は瑠璃子に大切なことを言い含めるように、発する言葉を選び選び、伝えようとする。
決して、傷付けようとはしない、そんな祥太郎の性質の優しさを感じ取って、瑠璃子は、強張っ
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