混沌を解いたところで簡単な現象にはならない/ホロウ・シカエルボク
そんな自分のことを何時間か眺め続けたあと、病院で目を覚ましたんだ、すべての治療が終わっていて、あとは俺が目を覚ますだけという状態だった、俺はいくつものビニールのカーテンに覆われた部屋の中で、無理矢理に酸素を送り込まれながら瞬きをした、そう、それもある意味で「停止」だった、なあ、そう考えると「停止」なんて言葉は便利だけど味気ないな―その時は近くに誰も居なかった、だから誰も俺に気づかなかった、俺はもう一度眠った、下手な映画監督がヌーベルバーグを気取ったみたいな、不可解な断片が短いカットでインしたりアウトしたりする夢を見て何度も目覚めたり眠ったりした、ほら、音はするけど回転はしないエンジンみたいな感じさ
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