混沌を解いたところで簡単な現象にはならない/ホロウ・シカエルボク
のかもしれない、そこで俺はボードゲームのコマみたいにこつんと突っ立っていた、動けるのか動けないのかも釈然としなかった、でも眉ひとつ動かさずにじっとしていた、それはある意味で、姿形すら判らない生き物の死骸を数えていることと同じだった、ただ見た目にはまるで違うことをしているみたいに見えるだけで―その中ではどんな出来事も起こらなかった、真っ白い闇の向こうから誰かが俺を殺そうと目論んでやってきたり、あるいは亡霊が現れたり…美しい女が現れて俺を愛撫したりとか、そういったことはまるでなかった、だから俺はいつまでもそこでこつんと突っ立っていた、それは先に予感した「停止」という状態だった、今思えば、まさにね…そん
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